レストアとは?
レストアとは、日本語で言うと「元の状態に戻す」という意味になります。自動車界においては、劣化の激しい旧車を新車のように復元することを指しています。 今では販売されていない車に乗っている人や、大切に乗ってきた愛車を今後も乗り続けたいという人がレストアすることが多いのですが、レストアには膨大な時間と根気が必要です。旧車と同じパーツを探すことからはじまり、部品の交換や補修などを地道に行う必要があるためです。車種によってはパーツがなかなか見つからず、高額の費用がかかるということも珍しくありません。このため、レストアは車を愛するオーナーが行う「究極の趣味」などと呼ばれることもあります。
修理・オーバーホールとの違い
旧車を新車のように復元すると聞くと、「修理やオーバーホールと何が違うの?」と不思議に思う人もいるでしょう。
まず修理ですが、これは車に不具合が生じたときに行うものです。故障して正常に走行できないときはもちろん、車体が凹んだり傷がついたりして見栄えが悪くなったときにも修理することがあります。修理はスムーズに車を使用するために欠かせないものであり、基本的にオーナーの好みで行うものではありません。これに対し、レストアは特に不具合が無くても行われることがあります。広い意味で言うならレストアも修理の一種ではあるものの、レストアは単に修理するのではなく、新車に近い状態まで復元することを指すため修理とは異なると言えます。
オーバーホールは、一定期間が経過した部品を分解して検査し、問題があれば修理する作業のことを指します。主にエンジンなどの機械類をチェックし、洗浄や修理などを行って新品と同様に仕上げるのが一般的です。この点はレストアと同じですが、オーバーホールが機械類のみに行われるのに対し、レストアは車体全体を対象に行うという点に違いがあります。
レストアの人気車種
レストアされる車は、基本的に製造されてからかなり年数が経過したクラシックカーが多いです。 このような車は市場でもなかなか見かけないため、ベース車をレストアするしかないケースが多いのです。比較的新しい車なら中古市場で購入することができるため、そもそもレストアする必要がありません。レストアするしか選択肢がない車は少なくありませんが、中でも人気の車種がいくつかあります。
代表的なところで言うと、初代ロードスターやハコスカと呼ばれる日産スカイライン2000GT、日産フェアレディZなどが挙げられます。このほかにも、F31型レパードやR31型スカイラインなども人気があり、専門に取り扱っているレストアショップもあるほどです。 レストアを手掛けているショップは、大手自動車メーカー以外にも存在します。それぞれのショップごとに対応可能な車種が異なるので、レストアを希望する場合は事前に問い合わせが欠かせません。
レストアの流れ
愛車のレストアを希望する場合、まずはその車種に対応可能なショップを探すことから始めましょう。 地域によってはレストアショップが少ないこともあるので、事前の調査が欠かせません。
ショップが見つかったら、まずはベース車の状態チェックを行います。どの部分を修理する必要があるか、どのようにパーツを交換したいかなど、 オーナーとショップで入念に打ち合わせしましょう。 方針が決まったら、部品を調達して塗装の剥離や錆び取り、各種補修などを行っていきます。機械類の修理や新たなボディのペイントが終わると、内装や外装の修理にとりかかります。すべてが終われば、仕上げを行って完成です。ベース車の状態が良ければ、修理は行わずパーツの交換やペイントのみ行うこともあります。
レストアはクラシックカーで行われることが多いため、ベース車の状態は実にさまざまです。内部をチェックして初めて見つかる不具合も珍しくなく、最初の見積もり金額から大きく変わることもあります。また、レストアショップの中には技術やクオリティに不安があるところもあるため、ショップ選びを慎重に行うことが大切です。 レストアの実績が十分にあるか、スタッフの対応は丁寧でこまめかなどをチェックし、評判の良いショップに依頼するようにしましょう。
レストア車を正しく理解しよう
基本的にレストア車は、現在の愛車に手を加えて復元させます。しかし、稀に中古車としてレストア車が市場に出回ることもあります。クラシックカーは愛好家に人気が高いのでつい飛びつきたくなりますが、レストア車の可能性もあるため慎重に見極めなければならないでしょう。そのためにも、レストア車の基本的な情報について、正しく理解しておくことが大切です。レストア車の特徴や注意点などを把握し、後悔せず車を購入できるようにしておきましょう。