ファブリックシートは布素材
ファブリックシートとは、布を素材としたシートです。 多くの車で採用されているため、馴染み深いのはこちらの種類かもしれません。
ファブリックシートには「織物ジャージ」「トリコット」「モケット」といった種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
織物ジャージ
平織で作られた素材です。平織とは経糸と横糸を交互に与わせることで織り上げられる繊維のこと。さらっとした手触りが特徴で、柔らかいものから固いものまで種類は様々です。名前の通り、衣類のジャージに似たような雰囲気を持っています。ファブリックシートの中では比較的汚れが付きにくいので、近年では軽自動車のシートなどによく使われています。
トリコット
なめらかでややつるつるとした手触りが特徴の素材です。生地には編み物と織物がありますが、トリコットはちょうどその中間の性質を持っています。通気性もいいのですが、つるつるしているため、運転しているときの体勢がずれてしまうデメリットがあります。
モケット
しっとりとした手触りが特徴の素材です。柔らかいパイルの風合いと強い摩擦強度を兼ね備えた繊維で、特に毛が長いタイプは滑りにくく、電車やバスといった公共機関でも多く使われています。ただ製造に手間がかかるためコストが高くなってしまい、車のシートにはあまり使われなくなっています。それでも根強いファンが多い素材です。
手軽だが汚れに弱いファブリックシート
ファブリックシートの一番のメリットは、扱いやすいという点です。 少々乱暴に扱っても傷付くことがなく、レザーシートに比べて耐久性も高くなっています。特に小さな子供がいるなら、ファブリックシートのメリットを最大限享受することができるでしょう。手入れも楽で、時々掃除機をかけるだけで済むので手軽です。レザーに比べて安価であるという点も大きな魅力でしょう。その上長期間の使用にも耐え、編み目のおかげで通気性にも優れています。
ファブリックシートのデメリットは、汚れに弱いという点です。 優れた通気性を生む編み目がその理由で、編み目の間に汚れが入り込んでしまうとシミになり取れなくなってしまうのです。細かい砂やホコリにも弱く、一度入り込んでしまうとなかなか取り出すことができません。汚れは当然、車が役目を終えて買取に出す時の査定額にも響いてきます。汚れないよう気を付けても限界があるので、予めカバーをかけるなどして汚れ対策を行っておくことが重要になります。
また、レザーに比べると高級感にかけるという欠点もあります。 特に、車に高級感を求める人にはあまり向かない素材と言えるかもしれません。
高級感が魅力のレザーシート
レザーは動物の皮をなめし、表面に塗膜を施した素材です。中でも数の多い「アルカンターラ」「セミアニリン」「ナッパレザー」という3種類をチェックしてみましょう。
アルカンターラ
日本の化学メーカー東レとイタリアのアルカンターラ社が作っている人工皮革です。天然スエード材の手触りと外観を持っています。スエードは耐久性の点で自動車シートには適さないため、アルカンターラは高級シート素材として多くの人を引き付けています。人工皮革なので、本革に比べて耐久性、耐光性、通気性に優れています。
セミアニリン
主に高級車のシートに使われる本革です。しっとりとした手触りが特徴で、「いかにも革」といったギラギラした見た目ではなく、どちらかというとマットな仕上がりになっています。
ナッパレザー
柔らかく薄めのレザーの総称のことです。通常の革よりもしなやかで、塗膜が薄いため革本来の風合いも失われていません。ただ風合いを活かすことに重点を置いているため耐久性が低く、車のシートにはあまり向いていないと言われています。
レザーは取り扱いに注意
レザーシートの一番のメリットは、高級感があるということです。 これはファブリックシートには絶対に真似できない点です。何よりも高級感を求めるのであれば、レザーシート一択になることでしょう。
ただし革でできているが故に、繊細で耐久性に劣るというデメリットがあります。 財布や鞄といった革製品は使い込むことで風合いがでてきますが、車のシートは長く使っているとハゲができてしまったり、ひび割れが起こることがあります。車のシートは一般的な革製品の工程に加え、耐久性を上げるためにたっぷりと塗料が吹き付けてあり、この塗膜が薄くなってしまうからです。長く使っていくためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
見た目だけに注目しないようにしよう
シートは車内で大きな面積を占める部分で、直接体を預けることになる場所でもあります。見た目だけを見て簡単に決めてしまうのではなく、今回紹介したメリット・デメリットにも注目しつつ、自分や家族に合ったタイプを選ぶようにしましょう。