走行中の車内がうるさくなる理由
モーター駆動の車の運転時や、エンジンの低回転域で比較的静かに走行する時などでも車内がうるさく感じる場合、そのノイズはエンジン以外に由来する可能性が高く、大きく4通りに分けられます。
一つは車体にかかる風圧による風切り音 で、ボディの形状やドアミラー、ボディの隙間が主な原因で発生します。車の速度が上がるほど風圧も増すため、特に高速で走行中に際立つでしょう。
残りの三つはロードノイズ・パターンノイズ・共鳴音と呼ばれ、いずれもタイヤに由来しています。 ロードノイズは、低速で走行中の「ガリガリ」という音や、高速走行中の「ゴー」というタイヤが地面に触れる音のことです。パターンノイズはスポーツ系タイヤに多く、トレッドパターンというタイヤに刻まれた溝が路面と接触する際に、空気が圧縮・解放されることで「シャー」「ヒュー」という高めの音が出ます。共鳴音は、道路の継ぎ目や段差を越える時の振動が、タイヤ内で太鼓のように反響して「パカン」という乾いた音になります。
ロードノイズが発生する原因は?
中でもエンジン音の次に大きいとされているのがロードノイズです。路面の凹凸とタイヤの接触によって発生した振動が原因 で、空気を介して車の外からも伝わりますが、基本的にはタイヤからサスペンションを介してボディへと伝わり、運転席まで聞こえてきます。
また、この振動が車の部品や車内にある小物に伝わることで、さらなる騒音を発生させることも考えられます。
ロードノイズの大きさは車そのものよりも路面の状況に大きく左右されてしまいます。滑らかに舗装された道路ではそこまでうるさく感じることはありませんが、凸凹の多い荒れた路面になるほど大きな騒音になるでしょう。他にも、継ぎ目の多い道路ではそれらを越える度にロードノイズが変化するため、そこまで大きな音でなくとも耳につく可能性もあります。特に、スピードの出る高速道路では継ぎ目を踏む頻度が高くなるため、その傾向が顕著です。
5つのロードノイズ対策
ロードノイズは車が地面を走行する以上避けられるものではありませんが、以下のような対策を施せばいくらか低減できるかもしれません。
タイヤを交換する
まずはロードノイズの発生源であるタイヤに問題がないか確認してみましょう。現在使用しているものの素材や構造などが原因でノイズが発生している場合、よりゴムの材質が柔らかいタイヤなどに交換するとノイズを低減できるかもしれません。特に、乗り心地を追求した高級車などに用いられているコンフォートタイヤであれば、通常のタイヤよりも快適な乗り心地を実感できるはずです。
ただし、タイヤによる静音効果は車の車種やサスペンションのセッティングなども影響するため、タイヤを交換しただけではノイズが軽減されない場合もあります。加えて、ノーマルタイヤと比べると、こういったタイヤはグリップ性能や耐久性が劣る傾向にあることにも注意する必要があるでしょう。
ノイズ低減マットを導入する
ロードノイズは基本的に車体の足元の方から伝わってくるため、特殊な吸音素材が使用されたノイズ低減マットを運転席と助手席、後部座席の足元に敷くことで効果的にノイズが抑えられます。既存のフロアマットと交換するタイプや自分で切ってフロアマットの下に敷くタイプ、特定の車種にサイズを合わせたものなど様々な商品が手に入ります。
施工時には、シートレールの動きを妨げないかといった、車の操作に支障を来す要素に注意する必要があるでしょう。特に運転席にマットを敷く場合、アクセルやブレーキのペダルに引っかかって事故につながる危険性もあるため、マットがしっかりと固定されているのを確認することが大切です。
ノイズ低減プレートを導入する
座席のシートやサスペンションはボディと直接つながったパーツのため、これらをボディに固定する部分にノイズ低減プレートを取り付けることで伝わる振動をある程度抑えることができます。このプレートは特殊なワッシャーのような部品で、取り付ける際は一旦シートやサスペンションの固定ボルトを外し、プレートを挟んで再度ボルトで固定しなければいけません。そのため、取り付けの際はある程度車の整備に関する知識と工具が必要となるでしょう。
プレート自体の値段は比較的安価で、マット同様多くの商品が手に入りますが、自動車メーカーから販売されているものはありません。したがって、プレートの取り付けは自己責任で、万が一それが原因でトラブルが発生した場合の保証はないので気を付けてください。
デッドニング処理を行う
振動をなくすという意味合いのデッドニング処理はオーディオ環境を改善するため、ドアのスピーカー周りを中心に施されることもありますが、ロードノイズの低減にも一定の効果を発揮します。この場合、フロントタイヤのホイールハウス内とフェンダー周りのフレームに施すことで、効果的にノイズを抑えることができるでしょう。施工時には、直接貼り付けるシート状のゴムや金属などの制振材、ウレタンなどの吸音素材の他、スプレー状に吹き付けるタイプの遮音材といった市販の商品が利用できます。
とはいえ、この処理は普段カバーや内張りで覆われた部分に施さなければいけません。タイヤを取り外してフレームをむき出しにし、デッドニングをして元通りにミスなく組み直すことが求められます。それらの過程で問題があると事故に直結するため、車の整備に関するより専門的な知識や、施工を行うためのまとまった時間が必要不可欠でしょう。
ディーラーにロードノイズの軽減を依頼
上記のように、本格的にロードノイズ対策を行おうとするほど、必要な技術や知識のハードルが高まっていきます。この点、専門の業者に頼めばより安全で確実にロードノイズ対策をすることが可能です。命にかかわる部分でもあるので、自信がなければ多少出費が嵩んでもディーラーに頼んでロードノイズ対策をしてもらった方が良いでしょう。
解消しない時はその他の騒音対策を
ロードノイズは地面とタイヤが接触することで生じる振動が原因のため、その振動が車内に伝わるまでの段階でカットすることが重要になります。ただし、あくまで車内で感じる騒音の一つに過ぎないため、前述のような対策を講じていても解消されない場合があります。そういった場合は、ロードノイズが関係ないエアコン等の設備の様子も確認し、騒音対策もしてみましょう。